今更初恋

もうすぐ二十歳になる私。いまだに恋という恋をしたことがない。
こんなこと、友達にも言えなくて、とりあえず芸能人に抱く感情とかを持ち出して、勝手に想像して会話を合わせてきた。

さすがに、彼氏がいるという嘘まではつけないから、そこは20年間彼氏なしというレッテルを仕方なく暴露してきた。

今日、いつもの花屋さんに寄って、いつも通りおばあちゃんのお見舞い用の花束を物色していると、「君に寄り添います。」突然真後ろから声がした。

驚いたというよりも、その心地いい声に体の芯から熱くなる感じに酔いしれ、はっと後ろを振り返ると、すらっと背の高い短髪の少し年上ぐらいの男の人が立っていた。
花屋のエプロンをしている。新しい店員さんだろうか?

「その花の花言葉ですよ。どういった花をお探しですか?」
本当に彼の声は素敵で、いや、もちろん見た目も優しそうで、花屋にいても全然違和感のない好青年だった。

私は、お見舞いであることを伝え、明るい花束を彼に作ってもらった。
それから週に2回は通う花屋で、私は急激に彼に魅かれていった。
彼は、全ての花の花言葉を知っていて、私が迷うと必ずその日の私の気持ちにぴったりな言葉をくれる。

おばあちゃんのお見舞いよりも、私は彼に会うことが楽しみで花屋に通っていた。
きっと、これが私の初恋だ。彼には彼女がいるのだろうか?年は何歳なのだろうか?名前は?趣味は?休みの日は何をしているんだろう?もう気になって仕方がない。

初めての私には、この気持ちがいつ爆発してしまうか心配でたまらなかった。

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